カフェバグダッド氏はnoteで岩手と中東の接点について書いています。
計9年の年月を過ごした中東と、生後18年過ごした我が故郷岩手の接点を、食、文学、歴史など多岐にわたる分野で示していきたいと思います。「岩手中東化計画」の賛同者を募集しています。
…とのことです。
このマガジンから、今回はこちらの2019年12月1日の記事を取り上げたいと思います。
カフェバグダッド氏は盛岡市郊外の羊肉レストランに併設されている羊肉販売所でラムチョップを見て、イランの「シシリク」を作ろうと思い立ちます。
が、作り方がわからないのでイラン在住歴10年近くの友人に問い合わせることにします。ご友人は知っている情報と、さらにネットで調べたレシピを氏に伝えます。
料理のレシピってわりと簡単な文章で書かれてるからその言語に堪能でなくても基礎があればだいたい読めるものですが、氏はイランに何年か暮らしていたのにペルシャ語が読めないのでしょうか。滞在中の生活はどのようにされていたのか気になるところですが、多分ペルシャ語と日本語が両方堪能なアシスタントもしくはパートナーがいたのでしょう。
それはさておき、レシピを手に入れたカフェバグダッド氏はまず材料をそろえることにします。
岩手でサフランを入手するのは難しそうだが、あとの材料はなんとかなりそうだ。特に、岩手のヨーグルトのおいしさは折り紙付き。以前、岩泉町の「岩泉ヨーグルト」や西和賀町の「湯田ヨーグルト」でアラブのヨーグルトチーズ「ラバネ」を作ったりしたのでよく知っている。
「岩手でサフランを入手するのは難しそう」
はい、問題発言きました。
私はカフェバグダッド氏と同様に岩手で育ち、料理に興味を持ち始めてからはスーパーであれこれスパイスを買っていた子供でした(ほとんど使いこなせていませんでしたが)。
その中にサフランもありました。20世紀の話です。
20年以上前から、岩手でサフランは普通に売られていました。
念の為エスビー食品に問い合わせてみたところ、家庭用スパイスとしてサフランが発売されたのは1987年3月だそうです。仮に地方での発売にタイムラグがあったとしても年内に岩手でも販売されていたのではないかと思います。20年どころか30年以上前ですね。
ましてや、今はAmazonも楽天もあるのに、なんでサフランを入手するのが難しいのでしょうか?
精一杯好意的に解釈して「岩手県産のサフランを入手するのは難しい」ということなのでは…という説を無理やりひねり出してみたのですが
北海道産タマネギと中国産ニンニクをジューサーで液状にしたものと、西和賀町特産の湯田ヨーグルトをまぜて
岩手県産どころか国産にこだわりもないようなので、その解釈は無さそうです。ニンニクなんて日本産が容易に手に入るのに…
カフェバグダッド氏のツイートを「サフラン」で検索すると、イラン在住時にサフランを使った料理やお菓子などに親しんでいたようです。帰国してからもしばしば登場しています。
テヘラン北方のダルバンサル村では、知人がバーベキューをふるまってくれた。バーベキューといっても、サフランをまぶした鶏肉をひたすら食べたのだが。イラン人は、究極の「いっちょ食い」
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2010年4月17日
イラン特産のサフランをしみこませた鶏肉ケバブに塩をふると、確かにうまいですね・・・ RT @szarvasgomba 私はハマダンで食した串刺しチキンの味が忘れられな
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2010年4月21日
い・・・
イラン名産サフラン入りのアイス、ピスタチオのせ。甘さ控え目で上品な味。「バスタニ・ソンナティ」(伝統的アイスクリーム)といい、イランでは中東アイスクリームの元祖と考えられている。横浜・生麦のイラン料理店「カスピアン」で。 pic.twitter.com/6cwuLc43Kk
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2017年6月5日
イランのうまいもの満載。快晴のイスラム革命記念日レセプションのブッフェ。羊ひき肉ケバブ「クービーデ」、レーズン、サフランライスが彩りを添えるご飯、日本のポテトサラダを思わせる「オリビエサラダ」、エビのカクテル。キャビアではなくイクラ、などなど。東京・南麻布のイラン大使公邸で。 pic.twitter.com/1w2SPlD2Vk
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2018年2月9日
現代イランの外食の定番。
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2019年1月18日
羊ミンチ肉のケバブ(クービーデ)。ナスのシチュー(ホレシュテ・バーデムジャーン)。これをサフランで黄色く染めたパラリとした長粒米に乗せる。しつこいけど軽い、不思議な料理。
東京・南麻布のイラン大使公邸で行われた、日イラン外交関係樹立90周年記念パーティーにて。 pic.twitter.com/ufHiXrpavu
結構冷え込むイラン北部の冬のイメージは、サモワールで入れた濃い紅茶。北西部アゼルバイジャン地方の茶葉が有名。黄金色の砂糖の結晶棒「ナバド」をかき混ぜると特別感が増す。色はサフランの色素。普段は口に含んだ硬い角砂糖をお茶で溶かして飲む。日本とイラン、茶へのこだわりは甲乙つけがたい。 pic.twitter.com/wUspuGd7hd
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2020年12月2日
黄金色の砂糖の結晶棒「ナバド」は、イランで紅茶を飲む時に使う。お茶に入れてかき混ぜると溶けて、甘さと特別感が増す。色はサフランの色素。イランの茶道のこだわりが感じられる。日本だと、神奈川県相模原市のアジア中東食材店「ハッジ・ババ」で売っているようです。 https://t.co/ub0X4hYRiH
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2021年5月12日
チャイというと、ミルク入り紅茶をイメージする人も多いかも知れないが、イランでは、紅茶葉のみか、ミントと一緒に煮出した濃い琥珀色の透明な飲料。硬い角砂糖ガンドを口の中でとかしたり、サフラン入り黄金色の糖結晶棒ナバドをお好みで入れたりして甘さを味わう。伝統の形式は揺らがない。 pic.twitter.com/hrVJDwgMtu
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2021年10月5日
イラン特産の高級食材というと、キャビアとサフラン。サフランを入れたアイスクリーム(バスタニ)というのもあって、これまたイラン特産のピスタチオをふりかければ、彩りも美しい。日本だと、横浜・生麦のイラン料理店「カスピアン」などにある。ちなみに店名の由来のカスピ海の南岸は、イラン領。 pic.twitter.com/oIjB9Ui5UM
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2021年11月27日
イラン人は、紅茶(チャイ)を飲むのが大好きな人たち。普通、ガンドという固形の砂糖を口に入れ、紅茶で溶かしながら飲む。サフランで着色した「ナバド」と呼ばれる棒状の結晶のような砂糖をなめながら飲むこともある。紅茶自体にひたして飲むこともある。 pic.twitter.com/q5o1vORvJE
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2022年1月6日
中東菓子のバクラヴァは地域色に富む。イラン中部ガズヴィン州のバクラヴァ は、日本の菱餅のような多層構造。特産のピスタチオやサフランなどを使いカラフルに仕上げる。イラン暦に基づく新年(ノウルーズ)のお菓子としても知られる。 https://t.co/86XYEJF0bN
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2022年6月19日
これらの体験から「サフランはイランの特産品で、日本ではなかなか手に入らない」と思ったのでしょうか?
サフランは、パエリアやブイヤベースの材料として、そう頻繁に使うものではないですが日本でも昔から需要はありました。アンケートをとった訳ではないので推測ですが、一般的には日本ではサフランというとスペインやフランスのイメージがあるのではないかと思います。
ついでに少しサフランについてネットで検索してみたのですが、サフランは江戸末期に既に日本に入っていたのですね。日本ではおもに大分で栽培されているようです。宮城県塩竃市でも栽培されているようですが、用途は漢方薬の「塩釜さふらん湯」が主であるようです。楽天で「サフラン 国産」で検索すると、大分だけでなく山梨や福島のサフランも見つかります。
さて、サフラン抜きでシシリクを作ったカフェバグダッド氏ですが、出来栄えがたいそう良かったようです。
特にヨーグルトの乳酸のまろやかなうまみが印象的だった。シシリクのうまさの源泉の多くは、ヨーグルトにあったのではないか。中東の発酵食品の偉大さを、またまた見せつけられることになった。
「中東の発酵食品の偉大さ」
間違いではないのですが、ヨーグルトの起源ははっきりしていないし、ヨーグルト的な食品は中東だけでなく世界各国にあるし、肉をヨーグルトにつけこむレシピは中東特有でもありませんので、少々中東びいきな発言かなと思います。
この2001年の「きょうの料理」でも鶏肉をヨーグルトでマリネするレシピが紹介されています。
今度は、元来の中東料理ではないものの、ヨーグルトを入れてカレーを作ってみようかと目論んでいる。おすすめレシピがありましたら、ぜひ、ご推薦いただけたら、と思う。
この言葉通り、カフェバグダッド氏は「イスラム横丁」で購入したスパイスを使ってカレーを作ったようです。
スパイスカレーの材料に岩手県西和賀町の湯田ヨーグルトを使ってみた。東京カリ〜番長さんのレシピを参考に、花巻市産のパクチー、福耳南蛮も使用。スパイスは東京・新大久保のイスラム横丁で買い込んだ、カルダモンやターメリックなどを使用。翌日食べたらヨーグルトの酸味が増してさらに深い味に。 pic.twitter.com/EIzLbtOKsO
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2019年12月2日
イスラム横丁を訪れたのはその少し前の10月17日のようです。
東京・山手線新大久保駅のすぐそば、イスラム横丁の食材店。陳列棚の狭い空間で、黙々とレッドチリを袋詰めする店員さん。肉、豆、スパイス、調味料、この横丁ではアジアの食の材料が何でもそろう。今をときめくカルディの地位を脅かす潜在力があるのはここ。なにしろ何でも安い。簡易包装なのもいい。 pic.twitter.com/sD7AmgYaVm
— カフェバグダッド/CAFE BAGHDAD (@cafebaghdad) 2019年10月17日
この店には多分サフランが置いてあったと思います。